君の名は。感想

君の名は。感想

十分良かったけど、惜しいなと思いました。

明るく勢いがあって、とても魅力的な雰囲気があったものの、完成度は高くない。

ただ、三葉ちゃんがめちゃめちゃ可愛かったので、とても楽しめました。

 

色々気になる点はあるけれど、先に言うと、当初のシナリオをかなり圧縮したか改変したのかな、という印象が残りました。

 

細かいことはスルーしますが、個人的に作品の完成度を落としてしまっている、

大きな問題だと思うことを一つ一つ挙げていくと、

・三葉ちゃんはいつ瀧くんを好きになったのか。どちらかというと奥寺さんを好きになったように見えた

・奥寺さんが瀧くんについていった理由

・どうやって親父さんを説得したのか

・最後何によって気づけたのかが弱い

 

この辺でしょうか。それぞれ細かく言うと、

瀧くんが三葉ちゃんを 好きになっちゃうのは分かる。外見的にやばいくらいかわいいし、

交換日記的なやり取りのなかでのあの可愛い反応は、童貞を殺す。

 

しかし三葉ちゃんから見た瀧くんは、がきんちょな男の子でしかないのではないかと。弟を見るような気分で、好きになるには、あの時点までの描写では薄すぎるかと。

 

やるならば、三葉ちゃんが奥寺さんのことを好きに、というか、大好きなお姉さんみたいに、本当に懐いなっちゃって、でもいつ会えるか分からないし、しかも「三葉」としては会えないのも辛いと。そのことを知った瀧くんが、奥寺さんに、別人みたい、と言われたことをきっかけに、三葉が三葉として話せるよう、自分の身に起きていることを思い切って伝える。

奥寺さんも、身近に接して違和感が大きかっただけに、突飛な内容だけど、嘘とも思いきれず、で実際三葉として1度話させてあげたりとかして、でもそれきり入れ替わりがなくなっちゃって、会いに行くと言う瀧くんについていった、という流れなら繋がる。

 

三葉ちゃんの方も、自分のために、憧れの奥寺さんに変に思われる可能性も厭わず、明るく強く励ましてくれる瀧くんのまっすぐさに惹かれ始めて、とか。

そうすると、バイト先で、弱いのに許せない相手にはつっかかっちゃうという芯の強さ、正義感の強さを匂わせていた部分も生かせるし。(ああこういうところが、ヒロインが堕ちるポイントになるんだろうなと思ったのに、堕ちるまでのところでは生かされてないのも惜しい)

 

というか、当初そんな感じにする予定だったとしか思えないんだよなあ。奥寺さんと話しているときの三葉ちゃん、すげえ楽しそうだったもの。何度も二人で話し込んでる感じだったし。

現状の流れだと奥村さんの物語上の存在意義が、あんなに出てくるにも拘わらずほぼ無いし、特にあの流れの中で奥寺さんがついてくるのはいくらなんでも意味不明すぎる。奥村さんがついてくることが、その後の展開に繋がることすらない時点で、本当は繋がる何かを用意したかったけど思いつかなかくて、理由や意味は作れなかったけど賑やかしとしてプロット通り、奥寺さんもついていかせた、という風に見える。

 

あと、いやまず携帯に電話しろよと思えてしまって冷めてしまうところがあったので、

なんで電話に出ないんだよ、そっちこそとか、電波悪すぎじゃね、みたいな会話がまずあると、

伏線になっちゃうけど、変に冷めずにすんだのになとも思います。

 

鑑賞中に設定の破たんを感じさせちゃうのはいかんと個人的には強く思います。

そういうことか、と思わせたかったのかもしれないけれど、そう思わせるための伏線は、

物語上で見せるべきであって、設定の破たんと見せかけて、というのでは、一時的にであれ観客の心が本気で冷めてしまうので、上手いやり方ではないと思う。

あとまあ携帯に西暦くらい出るだろ感はあるけれど、その辺は個人的にはギリスルーできます。

 

携帯の日記が消えるのは、過去が変わったからということにすれば説得力があったかなと。ちょっと唐突だったので、瀧くんの記憶消去とワンセットにした方が良かったかなと。

で、三葉の方は、過去が変わったわけではないから、記憶等はそのままとか。

で、三葉は、例えば入れ替わり中に奥寺さんの誕生日があって、(三葉として会うのがその日とかにして)、その日付ははっきり覚えていた、みたいな。その後、隕石落下直前に瀧くんに会いに行ったとき、制服が違うのに気づいて、たまたま見た新聞で、3年後だと知っていたとか。それで、生き残った三葉は3年後、もう知ってくれているであろうタイミングまで待ちに待って、会いに行くとか。瀧くん三葉を見て何かを思い出しそうになるも、思い出せず、君の・・・名前は・・・で三葉組み紐を渡し、すべてを思い出す映像演出あって・・・みたいな。スーパーハッピーエンドみたいな。

 

親父さんの説得は、一応、親父さんの、〇〇家の血筋か、というセリフもあったし、おばあちゃんも昔似たようなことがあったとかいってたし、恐らく三葉ちゃんのお母さんも昔何かあって、親父さんも目の当たりにしたことがあった、て描写を入れておけば、私にも起きてるの!とか三葉ちゃんが言えば納得させうるのではないかと

 

奥寺さんの存在やら、奥寺さんがついていったり、親父さんの血筋が発言とか、入れたい描写が色々あった形跡はあるので、惜しいなあと。

尺の問題か、うまくまとめられなかったのか。

明らかに何も考えていない、というのとは違っていたので、そこも含めてかなり好印象ではあるのですが、実際完成度としては低いと言う他ないので、やはり惜しいなあという思いが強く残ります。